子宮筋腫は35歳以上の女性の20~30%にみられるごくありふれた疾患です。このうち治療が必要になるのは数%に過ぎません。ほとんどの筋腫の治療法は経過観察です。近年、医学の進歩によって侵襲の小さな治療法が開発され、治療の選択肢が増えてきております。
腹腔鏡下筋腫核出術が確実に可能であるのは、子宮または筋腫が腰椎下縁(B)を超えない場合。お臍の高さを超えると腹腔鏡手術は原則として困難です。その間の場合はケースバイケースです。手術の前にGnRH agonistを投与すると上の図のように筋腫核が小さくなって、腹腔鏡手術が可能になる場合があります。
正常な子宮を残して筋腫核のみをくり貫いてくる手術です。
【1】
子宮筋腫表面に止血防止の目的のピトレッシンを局所注入し、電気メスで切開を加えます。
【2】
筋腫核を索引して核出します。
【3】
子宮筋層・子宮表面を吸収糸で縫合します。
【4】
筋腫核は腹腔内で電動モーセレーターで砕き、体外へ回収します。
腟から子宮内にスコープを挿入して、ウロマチックという液体を注入し、子宮内のポリープや筋腫核を切除する方法。
太ももの付け根を5mm程度切断して血管カテーテルを挿入し、塞栓物質を使用して、子宮動脈(子宮を栄養する血管)を塞ぎます。
これにより子宮筋腫に向かう血液を減らし、筋腫を縮小することが出来ます。6~12ヶ月で約1/3にまで減少します。
治療直後の痛みを軽減するために、当院ではペインクリニック科と協力し、硬膜外科麻酔を行っています。
手術と違ってお腹に大きな傷が残りませんが、症状が改善せず別の治療法が必要となることがあります(10~15%)。
筋腫による症状(過多月経、月経困難など)があるもの。
今後妊娠のよていのないもの。
ただし、筋腫の種類により適応とならない場合もあります。
UAEは現在の健康保険の適応外となっています。そのため自費扱いとなってあり、実際にかかる費用は約40~50万円です。