2014.05.30
腹腔鏡下子宮筋腫核出術では、核出した子宮筋腫を小さい傷から体外へ回収するために腫瘍を細断する必要があります。子宮筋腫核の細断は、一般的には腹腔内で鋭的に細断して体外に取り出す方法がとられます。腹腔内での子宮筋腫の細断には通常の腹腔鏡下手術用ハサミや電気メスでは時間を要するため、専用の機器である電動モルセレーターを使用して腹腔内で細断しながら体外へ回収します。
先日、腹腔鏡下子宮筋腫核出術における電動モルセレーターの使用に関して米国FDAにより「子宮筋腫がある女性の腹腔鏡下の子宮摘出術または子宮筋腫摘出術に電動モルセレーターを使用した細切除去術を実施した場合、想定されていなかったがん組織、特に子宮肉腫があった場合に子宮以外の場所にがんをまき散らすリスクがある」とのコメントが提示されました。
当院で過去に腹腔鏡下子宮筋腫核出術をお受けになったほぼ全例に対して筋腫核の体外への回収のために電動モルセレーターが使用されています。しかし、術後の病理検査が良性子宮筋腫であったと診断されている場合は、現時点で腹腔内に悪性腫瘍が遺残している可能性はありません。また、良性の子宮筋腫の組織片が腹腔内に遺残している可能性もありますが頻度は極めて稀です。
過去に当院で腹腔鏡下子宮筋腫核出術をお受けになり術後の病理検査結果等の詳細が不明な患者さんは産婦人科外来にご連絡ください。その後に腹腔鏡担当医師の外来でご説明させていただきます。ただし、腹腔鏡下手術をお受けになってから時間がたっている患者さんでは診療情報(カルテ等)の準備のため、その返答に時間を要する場合があります。また5年以上前に腹腔鏡下子宮筋腫核出術をお受けになった患者さんでは過去の診療情報が廃棄されている可能性もあり、診療情報をもとにした返答ができない場合があります。
順天堂大学附属順天堂医院 産婦人科
北出真理